Yomokka!活用事例 

東京学芸大学附属竹早小学校  

【6年生/国語】

家庭学習で『Yomokka!』を活用。教科書にはない共通教材を、自宅で読んでみる

 「未来の学校みんなで創ろう。プロジェクト」に取り組む東京学芸大学附属竹早小学校では、「未来の学校図書館」を見据え、電子書籍を活用した授業事例の創出に取り組んでいます。『Yomokka!』を活用し、国語の授業プランを実践した曽根朋之先生に伺いました。

yomokka-takehaya-img02
・所在地 東京都文京区   ・学年 6年生   ・全児童数 約430名   

・内容/用途 国語 ”わからない”文学を楽しめる読み手へ~宮沢賢治作品『注文の多い料理店』『やまなし』他~

・利用開始 2021年7月 Yomokka!/Sagasokka!

 

宮沢賢治を読む。伝記や他作品に触れ、「読み」を深める

授業のねらい・工夫

 多様な解釈が成り立つからこそ「わからない」文学であり、芸術性が高いと言われる「純文学」。全13時間の活動をもって、一度読んだだけではわからない純文学に立ち向かい、自分の「読み」をもつこと、「読み」を共有して考えを広げることをねらいとしました。教材として選んだのは『注文の多い料理店』と『やまなし』です。『注文の多い料理店』『やまなし』ともに多様な「読み」を創り上げることができる教材であるといえます。『注文の多い料理店』は宮沢賢治作品の中でも比較的読みやすく、こどもたちが宮沢賢治作品に出合う入口に適していると考えました。また『注文の多い料理店』を足場かけとした上で、「読み」の幅が非常に広い『やまなし』を教材として選択しました。
 
2作品にとどまらず、宮沢賢治の伝記、作者自身が書いた広告文、他作品に触れる機会を設けることにより、児童がさまざまな情報から思考し、自分の「読み」を深められるよう工夫しました。伝記や他作品を読む際には『Yomokka!』を活用し、自宅で読んでみるように課題を出しました。

宮沢賢治童話集 注文の多い料理店・セロひきのゴーシュなど
宮沢賢治童話集 注文の多い料理店・セロひきのゴーシュなど』(世界文化社)
コミック版世界の伝記20 宮沢賢治
『コミック版世界の伝記20 宮沢賢治』(ポプラ社)
注文の多い料理店
注文の多い料理店』(ポプラ社)
授業でやってみたこと

導入/「わからない」文学について
「わからない」文学(純文学)について知る
『やまなし』を読み、感想を書く(足場かけとして活用する『注文の多い料理店』を学ぶ前に『やまなし』の感想を書く。『注文の多い料理店』で獲得した見方を踏まえて最終的に自分の「読み」の深まりを実感することが目的)
「わからない」文学を楽しむためにどうすればいいかを考える
『注文の多い料理連』の「読み」を持つ
『注文の多い料理店』を読み、一言感想とその理由を書く
一言感想の違いを考える
宮沢賢治が書いている『注文の多い料理店』の広告を読み、どの言葉から宮沢賢治の広告文のような「読み」ができるのかを考え共有する
『注文の多い料理店』に対する自分の「読み」を持つ
他者が書いた書評を読み、共感・反論・質問に印をつける
どのような「読み」が評価されやすいのかを考える
『やまなし』の「読み」を持つ
『やまなし』に対する「読み」を作るためにどうするかを考える
疑問を、アンケート作成ツールで出し合う
自分の「読み」を創るメモを書く
書評を書く
書評を読み合い、分類する
問いを立てる
自分の「読み」をもとに『やまなし』から感じるメッセージについて、話し合う

yomokka-takehaya-img

宮沢賢治の他作品に触れる機会を設けるため、『Yomokka!』を活用した課題を出した。現在『Yomokka!』には宮沢賢治に関連する書誌が22冊掲載されている(2024年10月)

yomokka-takehaya-img03

『Yomokka!』で『コミック版世界の伝記20 宮沢賢治』(ポプラ社)を読み、作者について知る

『Yomokka!』を使ってみて

 本実践では「純文学」を読むにあたって自分なりの「読み」を持つために、作品だけにとどまらず、伝記や他作品に触れる機会を設けました。学校図書館と連携して関連する資料を提供してもらうほか、『Yomokka!』で伝記や他作品を読む課題を出しました。『Yomokka!』では冊数制限なく、同時に何人でも読むことができます。これまでの学校現場では、教科書に載っていない本を共通教材として全員に配布することが難しかったのですが、『Yomokka!』では手軽に行うことができるため、学校現場での活用に適していると言えます。
 読み広げに『Yomokka!』を活用したり、第一資料として『Sagasokka!』で言葉を調べたり、状況に応じて『MottoSokka!』を適切に使うようこどもたちに促してきました。その成果もあり、自分の考えを持つために、これらの道具を目的に応じて使うこどもの姿が見られるようになってきました。

 

写真提供:東京学芸大学附属竹早小学校



logo-1
logo_Sagasokka